ワインの勉強② 赤ワインの造り方編
Chateau Lagrange訪問より、赤ワインの醸造方法について学んだことを書きます。
ワインの勉強①ブドウ編は、こちらから。
1.収穫
ラグランジュはすべて手摘みによる収穫。手摘みが良い理由は、目で見て判別できること、実を潰さないこと。ただ人件費がかかるので、今まで色々なシャトーを訪問した経験からみると、よほど予算のあるシャトーでないと100%手摘みは難しいようにみえます。
2.手作業選果
収穫された葡萄の実をコンベアなどの台の上で状態のよくない部分を手作業で取り除きます。
3.除梗(じょこう)→機械による選果→破砕(はさい)
重力と同じ物理で実を取り外し、ラグランジュでは光学式(レーザー)選果台で色と形と大きさを選別し良質な葡萄の実だけを残します。この機械はとても高価だそう。でも葡萄の味はワインの味をそのまま左右するので、本当に良質な葡萄だけを選別するのはとても重要なこと。
破砕は、果皮を軽く破ることで果汁を出やすくします。
4.皮、種をまとめてタンクへ
セパージュ(葡萄の品種)別、また栽培区画ごとにタンクを別にすることで、それぞれの特徴を生かしたワインができます。
タンクの中(凹凸のある部分)には、水が張っていて、その水温を調節することでタンク内の温度を25~28度くらいに調節しています。
温度管理はコンピューター室で。低温に保つことで、味と香りを引き出す発酵ができます。
5.第一発酵(主発酵)
糖分をアルコールへ。発酵中は熱が発生し、高温になると繊細さを失うので温度管理は非常に重要です。
6.第二発酵(後発酵)
葡萄の中に自然にあるリンゴ酸が乳酸菌によって乳酸に変わります。マロ・ラクティック発酵と呼ばれ、まろやかな赤ワインになるための重要な過程です。
最近ではこの5.6の発酵過程を同時にすることが可能となり(co-inoculation)、衛生的、かつ効率よく作業を行うことができるようになりました。この過程は約三週間かかります。
7.マセレーション
発酵が進むと、果皮や種がタンクの上に溜まってきます。これを果汁と混ぜることで色やタンニンを引き出します。マセレーションの技術には2つの方法があり、
*ルモンタージュ(remontage)
フランス語で下から上へという意味で、タンクの下から出てくるワイン(フリーランワイン)をホースで上までもって行き、果皮の上からかける。
メドック地方で伝統的にされてきた方法で、主にカベルネソーヴィニオンに使用。
*ピジャージュ(pigeage)
よりやさしい抽出方法で、主にメルロー種、プチベルドに使用。棒のようなもので上から果皮を押し込みます。
8.圧搾
果皮を取り出し圧搾機(pressoire)にかけます。このワインをプレスワインといい、一回目はやわらかく、二回目はより強めに、三回目は強く、三回圧搾します。
それぞれ圧搾されたワインも、後ほどのアッサンブラージュで使用します。
9.樽に移し、熟成させる
樽熟成中の作業は三つあります。
①ワインを付け足す
1.5リットルくらい減るので、減った分だけ常にワインを付け足していきます。ちなみに一つの樽は225リットル、ワイン一本750ccなので一つの樽はワイン300本分です。
②三ヶ月に一回、澱引き
澱とは皮や種のカス、死んだイーストのことで、樽の底に蓄積されると苦味が出てくるため取り除く作業を行います。
③清澄
澱引きをしても、目に見えないカスや微生物があるため、卵白二個を樽にいれて吸着し、しずませる清澄作業を行います。
ラグランジュでは、フレンチオーク樽を6つの樽会社から購入していました。樽会社により、ワインにつく香りが違うためです。
樽の周りに栗の木が使われているのは、虫が先にやわらかい栗の木につくためで、昔は大切な役割でした。
Chai(樽熟庫)は温度が15度、湿度が85%に保たれていました。
10.アッサンブラージュ(調合)
一月上旬ごろ、テイスティングし、どのワインをファーストワインにするか、セカンドワインに入れるか仕分け、どの割合でブレンドするかを決めます。
11.瓶詰め
洗瓶は水で洗った後、酸素をなくし酸化をふせぐため、ちっ素を入れます。
レーザーでそのワインの情報、つまり原材料、発酵期間、品種比率など、樽熟期間、アッサンブラージュ(どの区画の葡萄を使ったか)、瓶、コルクの種類などの情報を打ち込みます。
ワインはすごく繊細で手を掛けて作るもので、人工的に酵母を加えたりするわけではなく、すごく自然な飲み物なのだと実感しました。
フランス人の長寿の秘訣は、ワインをゆっくり楽しみながら、時間をかけて楽しくお話しながら食事をとることだと私は思っています。
皆さんもボルドーにいる間、食事に一杯のワインをお楽しみください^^♪
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